断片

銀河雑貨店

こんばんは。お客さま。誠に勝手ながら本日は閉店しております。ええ。まあ雨どころか雲一つ無い夜ですから。でもいらっしゃったお客さまをそのまま帰すのも無粋というもの。此方の本をお貸ししましょう。佐藤弓生さんの『モーヴ色のあめふる』という歌集です。さあ。捲ってごらんなさい。目次に「月百首」と有るでしょう。お客さまが何をご覧になりたくてこのような夜に訪れたかは存じませんがきっと今よりも月を愛しく思いますよ。はい。私のお薦めですか。そうですね。「ながあめに誰のものでもない月のような男とすれちがいたり」ですかね。そのような男と思われたいものです。え。私の性別ですか。ふふ。ご想像にお任せします。

甘いについて

冬はココアが美味しい。パフェもアイスクリームも。甘いものが美味しくなったと感じたら冬が近付いている。砂糖が好きだ。弁当に金平糖を入れたら吃驚された。季節ごとに桜や紅葉などの形に変わる和三盆も可愛い。甘いは幸福と結び付いているように思う。私は英国の古い侍女のような格好でパンケーキを焼きたい。それを人に食べさせて食器を洗ってまた友人としてそれぞれ本を読んだりしたい。でもそのような飯事に付き合ってくれる人は居ない。例えば降雪の中でも訪ねてくれる人が居れば私はどうするだろう。その目が愛しい人を見るように甘くなくてもやはり歓迎してしまうだろうか。

恋と愛について

恋愛という語が苦手だった。というより恋愛に纏わるものが怖かった。好きを根拠に他者に感情や欲望を打つけることが私の中で今でも分からない。恋愛を恋と愛に分ける時にどうしてか恐怖はずっと減る。恋も愛も社会が用意した物語から逸脱した語に思えるからかも知れない。恋愛の下で許したり許されたりする言葉や行為が恋や愛の下では優しいものに感じる。でも全て私の主観で今まで触れてきた言葉の中から学んだことだ。誤った学習だろう。一緒に死にたいが恋で一緒に生きたいが愛だろうかと書いたことが有る。私はとても美しい名詞を知っているけれどそれを恋にも愛にも分類できないままだ。