硝子の魚群
私は火の中で生まれた
ちっぽけな魚
水を恋いながら
水辺を恐れている
貴方が貴方を見失う時に
出会う硝子の魚群は
みんな私です
燃やして
また生まれるために
薔薇
この頃は心と云っても奇形が流行で
純正の薔薇は珍しい
蜜蜂の子は角砂糖かしらと問う少女も
何時か全てが水と知る
私は庭の薔薇を左手で潰して
病んだ馬の形に近付けては絶望する
夜を映す罅割れた鏡
同化する
貴方に良く似せる
忠実な鏡のように理想を映す
映し続けて罅が入る
亀裂は縁まで広がっていく
貴方が嫌悪する貴方を映す
漸く貴方は立ち去って私は夜に同化する
もう殆ど見分けられない
信仰について
貴方は火や水のように振る舞う
私は野花のように倒れる
どうぞ私の人格など無視してください
貴方が私に無知な間は
小鳥ほどの自由を得られますから
そして膨らんだ魂で落下し続けますから
でもきっとまた朝の水辺の静けさで
失くした信仰について語ってください