無題

世界を信じていた。ということは他者の善性を無条件に信じていたことだった。今。私は一人の存在によって人を信じ切れない。それは文字として書き記せば殆ど無力な台詞だったかも知れない。でも私は書き換えられてしまった。神様に感謝する習慣をいつ失くしてしまったのだろう。私だけの神様とは他者そのものだった。それとも私は貴方という形で神様に再会できたのだろうか。街路に面した窓から光が降り注ぐ。この店の珈琲はずっと変わらない。冬服を誰より早く着た指先の冷たい貴方が云う。馬鹿ね。私は最初から私達だけが幸福ならば十分だったわよ。ぼんやりと窓の外を見ると初冬の街を子供達が駆けていく。何を信じているの。

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