生活のために結婚することと体を売って生活することは同じでないのと結婚式を控えた姉に尋ねたら同じよねえと他人事のように返された。でも私は若くも賢くも美しくもないからこうして無難な選択肢を持てたことを喜んでいるのよ。最後の煙草だと云ってマルボロだかセブンスターだかを吸う姉は私の知っている姉なのに遠い。九つも離れているとこうも分からなくなってしまうのかと今年で最後の制服を着たまま姉の煙草に手を伸ばす。駄目と姉は姉らしく叱って煙を吐く。人見知りで世間知らずで直ぐに寝込んでしまう姉が生きていくためには結婚が一番だろうと分かっていながら腹が立つ。せめて醜かったら良かったのに普通にウェディングドレスが似合ってしまうくらいには可愛いのだから私は何に怒れば良いか分からない。義兄になる人が君達は似ていないねえとにこにこしていたことにも苛々する。結婚式で花嫁を攫う妄想をしながら私は煙草を吸わないと姉の肩に肩を打つける。