黒曜石

先生が薔薇石英を呼んでいる。社会の先生は老年の男性なので男の先生と陰で呼ばれている。一見して明朗で若々しい印象を与えるので逆上せる子も居るけれど他の男の先生と話している姿を見てああと思った。私の家は父と兄弟ばかりの家だったので。

別に薔薇石英が特別に好きだったわけでない。ただこの学校の制服は私の黒い髪に良く似合った。この学校を気に入っていた。社会の成績を上げて男の先生に質問を繰り返すだけで薔薇石英から私に関心は移された。薔薇石英は何も気付いていないのか事典やら画集やらを捲っている。綺麗だと思う。

男の先生は冗談や軽口を装ってこの学校に相応しくないことを云う。私は笑ったり困ったりしてみせる。何か決定的な証拠が必要だった。私は先生に手紙を書く。男の人の気持が分からないという体で。薔薇石英からも良く貰っていたよと先生は何でも無い顔で受け取る。それが本当かは分からない。

図書室には箱が置かれていた。私はそれに先生から貰った手紙を全て入れる。不快な言葉は有ったけれど校長がどう判断するかは分からない。図書室の先生には仕事を増やして悪いと思うけれど教室で薔薇石英がぶつぶつと語彙を増やしている姿を見るとこの学校に来て良かったと思う。私は城を守る茨になれただろうか。

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