シェヘラザードという物語の上手い娘が居たらしい。自分の命を賭して王様に夜伽をしたということくらいしか知らないけれど。私が君に嘘を吐く時に天秤に乗せられている命は君のものでその嘘が気に入られれば君はその日は死なないでくれる。だから私達は『アラビアンナイト』と少し似ていて全く違っている。生きていてほしいと云わないで私は架空の物語を語る。今朝は悪夢から覚めたばかりの君に愛や恋より確かなものが有るなんて存在しない姉妹の話を聞かせた。君は目を細めて合格と云わないばかりの顔をしてみせる。本当のことを口にできない私にぴったりの仕事だと思いながら未だ死なないのと小娘のような態度を取る。妹ほどの年齢のお嬢さまはころころと笑って饒舌な目で私を見る。