最初の選択

父母を一遍に亡くした私が葬式なり何なりを事務的に済ませた後に貴方は遺言書のようなものよと手紙を見せてくれた。そして私の権利の全ては貴方に譲渡された。猫か女中か好きな方を選んでとマンションに帰るなり貴方は喪服からパジャマに着替え始める。ローテーブルには猫耳のカチューシャとロング丈らしいメード服が置かれている。何故と思いつつ女中さんと答えるとえっと聞き返されるのでワンピースとエプロンを引っ手繰って意思を示す。残念だなあと貴方は暗い目をしたまま笑う。そのまま眦から涙がすっと流れるのであっと思うと誤作動と貴方は顔を拭う。もこもこしたパジャマ姿でも貴方は十分に悲しそうで当分の生活のことしか考えていない私は旧友を亡くした人の女中という役を演じるために服を着替える。

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